タコのチラ裏あるいはノート

有益なものが無い場所を目指していく、気軽にコメントしてください。できるだけ返信します。

クラスで一番の彼女、実はボッチの俺の彼女です

2月のラノベ新作はこれにしました。Twitterやらで見かけた感想が決めてです。

感想

青春を面倒くさがり、自分からボッチになる事を選んだ篠宮誠司と、誰からも慕われる”クラスで一番の彼女”の神崎琴音のみんなに内緒の関係を描いた本作。甘えたがりでからかい好きと子供っぽい一面を篠宮の前でだけ見せる神崎と、そんな彼女に対して捻くれた言動や態度をついとってしまう篠宮、この二人の初々しい恋愛模様は見ていてついほっこりしてしまう。

本作は二人がすでに両想いであり、付き合っているというあまり見ないところから始まる。ラブコメにおいて最も重要な時期である(と個人的に考えている)、どうなってあの二人がくっつくのか?という部分を巡ってのドタバタ劇、つまりはコメディをすっ飛ばしており、その点ではこの作品はラブコメというよりかはラブストーリーというのが正しいだろう。あくまで付き合うまでのゴタゴタではなく、付き合ってからの話なのだから。神崎が篠宮の家に行く口実を探していたかと思えば、神崎が告白されている場面を目撃した篠宮が嫉妬に駆られ、それを聞いた神崎が嬉しがるなど付き合いたての二人は実に微笑ましい。

さっきも同じようなこと書いたな?

……とはいえ、”すでに付き合っている”関係から始まるストーリーだというのに、あざとい後輩ヒロイン(中学時代から惚れていた)が出てきたのは少しもやっとしたのも事実だったりする。これがまだ勝利者が確定していないラブコメなら良かったが、これはすでに勝利者が存在する争いなのだ(争ってないけど)、見ていてどうもやるせない感情を覚える……。加えてアラサーの童顔女教師、食えない性格の生徒会長までいたりする。いわゆる攻略対象ではないと思うのだが……。

それに学校内カースト最上層と最下層、この両極端の二人が付き合うに足る理由が序盤を過ぎた辺りでわりとあっさり判明するのもなんだかなぁ……といった感じである。もう少し強い理由が欲しかった、というのが心情だが致し方無し。終盤のシリアス展開も多少唐突に感じた。

しかし、常に軽口を叩き合い、篠宮の妹が辟易とするほどにイチャつく二人の姿はまさに砂糖ドカ盛りといった具合であり、そういうのが苦手でなければ楽しめるのは間違いない作品だと感じる。